黒羽氏いわく「宇宙を腕時計で感じられる技術」とのことだ。

 1974年11月、「カシオトロン」を発売したカシオ計算機(以下カシオ)。このモデルは、同社初の腕時計であった。すなわち2024年は、カシオが時計事業に参入してから50周年となる。この節目の年にカシオはいくつかの記念モデルを発売している。最初のモデルが2月発表の復刻カシオトロン、続いて5月発表の“Sky and Sea”、そして10月に発表された“Zero to One”である。


2024年10月23日にリリースされた“Zero to One”。6種(左から、BABY-G、オシアナス、G-SHOCK、カシオトロン、エディフィス、プロトレック)のモデルすべてが、必ず「ブラックとゴールドカラーをまとうこと」「0と1の数字をどこかに入れること」「ソーラー充電システムを搭載すること」「リサイクル素材のスペシャルパッケージを採用すること」といった決まりに沿って、それぞれの持ち味を出しながら、製作されている。

“Zero to One”は、樫尾俊雄の開発思想であり、今なお同社に根付いている「0から1を生み出す」を具現化していることが特徴だ。俊雄は兄の忠雄、弟の和雄とともにカシオを設立した創業家のひとりであり、カシオトロンを含む、発明家として知られている。この思想を「はじまりの灯火」としてイメージするために、ブラックとゴールドカラーをすべてのモデルでまとっている。


 本作はこれまでのオシアナス「S6000」に、“Zero to One”のテーマカラーであるブラックとゴールドがあしらわれた意匠を持つ。また、従来はデイト用小窓からのぞく以外では文字盤から隠れていた日車(カレンダーディスク)が露出しており、さらにこの日車がパープルからブルーへと変わるグラデーションカラーに彩られている。そんな、意匠の特徴がまず目に飛び込んでくる記念モデルだが、本丸は文字盤下にある。新開発の「ガリウムタフソーラー」を使用しているのだ。


 今回、このOCW-SG1000ZEの企画および開発に携わった、佐藤貴康氏と黒羽晃洋氏を取材。ふたりの話から、本作がカシオに根付く「0から1を生み出す」という開発思想を受け継いだからこそ、そして顧客に寄り添う姿勢があるからこそたどり着けた、まったく新しいソーラー電波ウォッチであることが分かった。


 佐藤貴康氏は、商品企画部のリーダーを務めている。オシアナスは6年ほど手掛けており、同ブランドの新製品の企画・開発には必ず関わっているという。そんな彼が、本作の企画の段階で、どんな記念モデルにしようと思っていたかを語ってくれた。


「(OCW-SG1000ZEは)カシオの時計事業50周年を記念するモデルですが、2024年はオシアナスの誕生から20周年でもあります。そんな節目の年に世界限定350本で作ることになりました。オシアナスの使命は『カシオのアナログムーブメントの技術力や製品へのこだわりを伝える』ことです。だから『オシアナスであること』を、とことん追求

「オシアナスであること」に信念を抱く半面、従来のモデルのコスメティックチェンジにとどまらず、「0から1を生み出す」という思想の下に企画・開発が行われたことも特筆すべき点だ。


「オシアナスはこれまで、カシオのアナログムーブメントの製造技術や進化を牽引してきました。だから50周年という節目に、進化や驚きが感じられるものを、オシアナスが出さないといけない。こういう考えがあって、350本の記念モデルのために、新しいものを開発しようと思いました」

右の黒い、三日月状のパーツがガリウムタフソーラー。日車の下に配され、日車の肉抜きされた隙間に差し込む光のみで受光するため、文字盤の大きい部分で光の透過を気にする必要がなくなった。

 OCW-SG1000ZEは、新型ムーブメントが搭載されている。このムーブメント開発を担当したのが、企画部の黒羽晃洋氏だ。彼はオシアナスの企画・開発に携わって8年とのこと。ただしオシアナスだけではなく、MR-Gなど、ハイエンドラインのムーブメントを担当しているのだという。では一体、ガリウムタフソーラーとは、どんなソーラーセルなのか? 黒羽氏いわく「宇宙を腕時計で感じられる技術」とのことだ。

関連リンク:https://www.rasupakopi.com/hublot_z81.html

「オシアナスは、すべての製品でタフソーラー(カシオのソーラー発電システムのこと)を搭載しています。この機構の課題として、(ソーラーセルに受光させるために)文字盤には光を透過させられる素材を採用しなくてはならない、ということがあります。そうすると、色や素材に制約が出てきてしまいますよね。カシオでは、消費電力を抑えて少ない光で発電できるようにしたり、入ってきた光を効率よく電気に変換したりできる、独自設計によってこの制約を抑えてきました。遮光分散型ソーラーセルやインダイアルソーラーを開発したことで高効率化を実現し、結果として文字盤に色を付けたり、ソーラーセルの面積を小さくしたりすることが可能となったのです。しかし、今回開発したガリウムタフソーラーは、オシアナスで初めて、文字盤をメタルにすることに成功しました」



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