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幸いマストタンクは流通量が多いため、好みの個体が見つかるまで粘り強く探してみてください。

 「タンク」コレクションの誕生は1917年までさかのぼります。当時は懐中時計が主流でしたが、第一次世界大戦の影響で、瞬時に時刻を把握できる腕時計の必要性が高まりました。一方、カルティエは1904年に世界初の男性用腕時計「サントス」を作り出し、実用腕時計のパイオニアとして知られていました。 1917年、3代目ルイ・カルティエは戦中に活躍したフランスの軽戦車「ルノーFT-17」をもとに時計をデザインし、1919年に「タンク ノルマル」を発表しました。懐中時計の円形に対し、直線的なタンクのラインは注目を集め、今でも角型時計の基準となっています。また、1920年代よりアールデコ様式が流行したため、タンクはその先駆けとして認知されています。 類似シリーズとして「タンク ルイ カルティエ(タンクLC)」「タンク シノワ」そして「タンク アロンジェ」を発表。タンクLCでは、ケース形状がスクエア型から縦長のレクタンギュラーに変更され、現行に至るまでのデザインのベースとなっています。 関連リンク:http://koupmgyis.blog.wox.cc/ 関連リンク2:https://lopnseko.wordpress.com/ その後も派生シリーズを生み出し続けていたカルティエですが、1970年代にブティックの買収を受け、経営母体が変わることになります。その直後に展開されたのが、大衆向けライン「レ・マスト(Les Must)」シリーズです。それまでのカルティエは貴族などの特権階級に向けた高級ブランドという位置づけでしたが、このラインでは高級時計の品格をそのままに、価格帯を抑えて幅広い層へとアピールする狙いがありました。ウォッチコレクションからはタンクが採用され、1976年に「マスト ドゥ カルティエ」を発表。ヴェルメイユ技法によって低価格帯を実現し、若い世代を中心に人気を集めました。「タンク」のケースを採用した「マストタンク」は2004年に製造終了となりましたが、中古市場でも取引数が多く、時代を超えて愛されているシリーズです。2021年にはマストタンクの後継シリーズである「タンク マスト」が誕生し、現行モデルとして販売されています。 マストタンクは2004年に生産終了しているため、中古品を購入することになります。また、ヴェルメイユによる金メッキがはがれやすかったり、文字盤...

黒羽氏いわく「宇宙を腕時計で感じられる技術」とのことだ。

 1974年11月、「カシオトロン」を発売したカシオ計算機(以下カシオ)。このモデルは、同社初の腕時計であった。すなわち2024年は、カシオが時計事業に参入してから50周年となる。この節目の年にカシオはいくつかの記念モデルを発売している。最初のモデルが2月発表の復刻カシオトロン、続いて5月発表の“Sky and Sea”、そして10月に発表された“Zero to One”である。 2024年10月23日にリリースされた“Zero to One”。6種(左から、BABY-G、オシアナス、G-SHOCK、カシオトロン、エディフィス、プロトレック)のモデルすべてが、必ず「ブラックとゴールドカラーをまとうこと」「0と1の数字をどこかに入れること」「ソーラー充電システムを搭載すること」「リサイクル素材のスペシャルパッケージを採用すること」といった決まりに沿って、それぞれの持ち味を出しながら、製作されている。 “Zero to One”は、樫尾俊雄の開発思想であり、今なお同社に根付いている「0から1を生み出す」を具現化していることが特徴だ。俊雄は兄の忠雄、弟の和雄とともにカシオを設立した創業家のひとりであり、カシオトロンを含む、発明家として知られている。この思想を「はじまりの灯火」としてイメージするために、ブラックとゴールドカラーをすべてのモデルでまとっている。  本作はこれまでのオシアナス「S6000」に、“Zero to One”のテーマカラーであるブラックとゴールドがあしらわれた意匠を持つ。また、従来はデイト用小窓からのぞく以外では文字盤から隠れていた日車(カレンダーディスク)が露出しており、さらにこの日車がパープルからブルーへと変わるグラデーションカラーに彩られている。そんな、意匠の特徴がまず目に飛び込んでくる記念モデルだが、本丸は文字盤下にある。新開発の「ガリウムタフソーラー」を使用しているのだ。  今回、このOCW-SG1000ZEの企画および開発に携わった、佐藤貴康氏と黒羽晃洋氏を取材。ふたりの話から、本作がカシオに根付く「0から1を生み出す」という開発思想を受け継いだからこそ、そして顧客に寄り添う姿勢があるからこそたどり着けた、まったく新しいソーラー電波ウォッチであることが分かった。  佐藤貴康氏は、商品企画部のリーダーを務めている。オシアナスは6年ほど...